代表挨拶
多様な博士が、多様な組織で、
多様な分野で、多様な地域に貢献する
――新しい日本の姿を、
この拠点から
CLAP代表
国立大学法人電気通信大学
日本版Industrial PhD推進機構長
田野 俊一
いま、日本の高等教育は新たな転換点にあります。明治維新期に西洋の学問制度を導入し、 戦後には民主化と教養教育を拡充したように、私たちは社会の構造変化に応える 「第三の大学改革」を求められています。これまでの、手本を改善する「キャッチアップ型」 から、世にないものを生み出す「イノベーション型」国家へ進むためには、高等教育の観点 では博士人材の活躍の場を社会全体に広げ、研究成果の社会的循環を促進することが不可欠 であると考えています。
電気通信大学は、プロジェクトの代表校として日本版 Industrial PhD という新しい博士教育モデルを提案しました。 学生の学位テーマを起点に、学生、組織(企業・自治体等)、教員・大学が対等に対話し、 現場の課題と結び付けな がら、解決を目指す学位研究として推進します。博士人材が、 大企業だけでなく中小企業やスタートアップ、自治体、さらには人文・社会・芸術など多様な分野で力を発揮できる環境を整え、 日本社会全体の再始動(Reboot)を目指 します。
この挑戦は、単なる人材育成にとどまりません。博士課程教育を社会実装の現場に開き、
大学・産業界・自治体が互いの強みをいかして対等に協働する、新しい知の生態系を築く国家的プロジェクトです。
電気通信大学は、「D(Diversity:多様性)」を尊重し、「C(Communication:コミュニケーション)」
を活性化させ、「I(Innovation:イノベーション)」を持続的に創出するD.C.&I.戦略を目指しています。
その上で「共創進化スマート社会」の実現を掲げ、
情報通信・AI・ロボティクス等の社会の知的基盤を支える研究分野を土台に、
多様な連携のハブとして取り組みを進めてきました。こうした蓄積を活かし、
全国14大学とともにモデル事例を積み上げ、制度化を見据えた実証を進めています。
私たちはこれまで、大学の理念である「知と技の創造と実践」を拠り所に、人と技術と社会の共進化を志向してきました。 日本版Industrial PhDはその理念をさらに推し進め、研究の現場と社会の現場が相互に学び合い、未来の価値を共創する博士教育のかたちを示すものです。 多様な博士が、多様な組織で、多様な地域に貢献する――そんな新しい日本の姿を、この拠点から実現してまいります。